3月9日、浜松行きの快速列車の中で私はこれまでのことを思い出した。
思い返せば追いコンの次の日から、私たちが”最高”と呼ぶ終点へと私たちが組むトレインは進み始めていた。もともとツアーに行く気のなかった私を土屋健翔は誘い、共に高橋こうすけと浅野ゆうまのランに参加することにした。その後、部長という立場から人数調整に捉われどこにいくか決められないでいた犬飼昇吾を誘い、確かにこの5人のチームがここに誕生した。
一人一人と、メンバーが増えて行く様はまるで桃太郎を連想させた。そして、わたしたちを繋いだきひだんごは、それぞれが持つ人望と最高のランを作り上げたいという一つの共通意識だった。
我がSKT−runここにあり。
SKT−runとは、メンバーの名前の頭文字をとって名付けられた。
Shogo
元部長のナイスガイだ。
男子ランはこうあるべきだという強い願望を持って動いている。
向かい風の強い日は自ら先頭に立ち、風を切り裂き、私たちの道をつくりあげた。彼の背中はたくましく、この男を何度頼もしいと皆が思っただろう。しかし一方、(みんなも知ってると思うが)朝一から下ネタを言い続ける、妄想激しめなエッチな男。
Kosuke
このランをまとめ、作り上げた男だ。
しっかりと次のことを考えルートを確認し、本当によく働いていた。
物腰柔らかく、皆から好かれる男であることは間違いない。
中華街では3連敗をかまし、散財。そして猛省。
前ラン打ち上げでは先輩の熱い話に目に涙を浮かべるなど、見た目と裏腹にエモい。
Takeru
ランのルートや駐輪場など、たけるがすべて確認してくれたので迷うことがなかった。
たけるがいればどうにかなる、というのは過言ではない。
しかし、じゃんけんに負け続けると機嫌を悪くし、もうおれが食べたくないものはお前らで勝手にしてくれとじゃんけんを拒否するなど、最後まで殻を破ることをできなかったのは残念だ。
しかし奢った額は、6000円を超え自己ベストを更新した。
今年はユニクロで服を買うことはなかった。
Reiya
これまで経験してきたランとは打って変わり、じゃんけん最強。数々の名産を他人のペリカで食べてきた。
しかし、初日は再試の為、一人だけ課金で新幹線輪行。もちろん学割忘れる。乗車券も目的は大阪なのに謎に神戸まで買ってしまい無駄金。イヤフォン忘れたことに気づき2000円のイヤホン買うも、iPhone7のためイヤホンの互換性なく無駄金。1470円の切符紛失。
結局じゃんけん何回分損してるかわからない。
yUma
無限の胃袋。ご飯食べてもすぐにお腹が空く。朝も、昼も、夜もぉ!!
数々のモノマネを披露してきたが、シゲとサンド富沢以外似ていない。
ツアー前、一日一食生活で体型を維持していたがツアーに来て食欲爆発。しっかりとリバウンドをした。釈迦でぇーす。
このランのムードメーカーといっても過言ではない。
No one can replace us.
誰も私たちの代わりにはならない。
この5人で私たちは10日間ともに過ごし、同じ景色を見てきた。
それは時に人々の記憶だけが今も残る過去の産物であり、
時に、私たちの体を悠々と覆い尽くす湯気の立ち上る温泉であり、
時に、空からひかりの粉を落としたように無秩序に広がる稲佐山の夜景であった。
それら全ては美しく、この10日間の記憶をより鮮明にするものたちである。
私たちにとってこの日々は最高で、只々私たち2年生を誘ってくれたこすけとゆーまに感謝するだけだ。
本当にありがとう。
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私はそっとアイフォンの画面のアルバムを閉じた。画面に映し出されていた色彩豊かな写真たちは暗転し、私はそのままiPhone をポケットへとしまった。
「次は、浜松駅、浜松駅、終点です。お降りの方は…」
電車のアナウンスが聞こえたので席を立ち、自転車の元へと戻った。
この目の前のドアが開いたらツアーが終わってしまうような気がして胸騒ぎがした。ツアーが終わると毎回こうなるのだが、私たち2年生は基本的にこれが最後のツアー。いつもとはまた違う特別な寂しさがあった。
プシューっと音がして、ドアが開いた。
足は重かった。
その時、フーッと強い風が全身に吹いた。初春を迎えている遠州の風だ。
その風につられて電車の中へと踵を返しそうになったが、私は思い出した。
ツアー4日目、熊本県の強い風と同じ香りがした。その日は向かい風が強く風を切り裂いて走った。
そして私は、あの日と同じように風に抗うように電車から一歩踏み出した。
最高を作ったこの日々を、私は忘れることはないだろう。
そして、これからもこのメンバー、そしてチャリ部のみんなで最高を作り続けるのだ。
“SKTrun”、”最高を作らん?”
今、始まったばかりだ。
頑張って小説っぽくして、読みにくくしてごめんなさい!
んー、ごまかしキッス♡チュッチュ♡
以上門脇でした〜